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arietis

視線の先にある公園の緑を楽しむ住宅

2020年

東京都府中市

​住宅

設計・工事監理

ポーラスターデザイン 一級建築士事務所・長澤徹

施工

宮嶋工務店・宮嶋秀孝

照明

大光電機株式会社・高木英敏・石田未央

植栽

装景NOLA・長谷川隆明

撮影

藤本一貴

南側に公園が面した、落ち着いた住宅地での建替計画です。

 

施主はもともとこの場所にお住まいで、以前は1階の居間を中心に生活されていました。しかし、近くを走る電車の音が気になることや、外からの視線を考慮すると積極的に窓を開け放つことが難しく、どこか閉塞感を感じながらの暮らしだったといいます。

 

現地を改めて訪れると、公園は近隣の子供たちの憩いの場となっており、1階レベルではどうしても水平方向に視線が交差してしまいます。一方で、公園の樹木は立派に成長しており、上階レベルに視線を上げると、そこには瑞々しい葉が生い茂る豊かな借景が広がっていました。この土地のポテンシャルを最大限に活かすには、2階にリビングを据えるべきではないか。その確信は、設計の初期段階で施主と私との間でごく自然に合致しました。

 

敷地は道路や公園、水路に囲まれ、周囲のどこからも視線が入る「全方位がおもて面」のような場所です。そのため、日常の風景となる物干しスペースなどはルーバーで丁寧に囲い、生活感を抑えつつ気兼ねなく洗濯ができるバックヤードとして整理しました。建物自体の形状は、街並みに馴染むよう、いわゆる「ふつうの家型」として端正に整えています。

 

今回の計画において、コンパクトな面積の中にいかに「実際の広さ以上の開放感」を生み出すかが最大のテーマとなりました。 そのために、大きく3つのアプローチを組み合わせています。

 

物理的な拡張: 2階リビングの天井を屋根勾配に合わせた吹き抜けとし、屋根の懐をそのまま室内空間の体積として取り込むこと。

 

視覚的な連続: 公園側の開口部をあえて掃き出しのFIX窓(はめ殺し)とし、サッシの桟や網戸といった視覚的なノイズを削ぎ落とすことで、室内の床がそのまま屋外の緑へ繋がっていくような視線の伸びをつくること。

 

心理的な奥行: 建物外周の壁や天井に対して、間仕切り壁をあえて接触させない「浮いたような構成」にすることで、壁の向こう側にも空間が続いているような感覚を与えること。

 

これらの検討により、単純な長方形のプランでありながら、数値上の畳数を超えたおおらかな体感を得られる住まいを目指しました。 リビングに架かる屋根の勾配が、窓から入る光を柔らかく受け止め、刻々と変化する陰影を描き出します。 かつては閉ざして暮らしていた場所が、視点を少し変えるだけで、公園の緑を独り占めできる最も自由な場所に変わる。そんな建築の可能性を改めて実感した住宅です。

 

POLARSTARDESIGN ARCHITECT OFFICE

 

ポーラスターデザイン一級建築士事務所​

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