castor
単純な大屋根形状に普遍的な間取りを、
立体的断面形状で組み込んでみる。
2016年
栃木県宇都宮市
住宅
設計・工事監理
ポーラスターデザイン 一級建築士事務所・長澤徹
施工
株式会社佐藤材木店・佐藤孝明
植栽
装景NOLA・長谷川隆明
撮影
藤本一貴
nichiha siding award 2017 グランプリ
第16回日本金属サイディング工業会
施工事例コンテスト 準グランプリ
「居心地のいい家をつくる注目の設計士&建築家
100人の仕事」パイインターナショナル社掲載
1階にLDK+和室+水周り、2階に子供室+寝室+クロゼット、自分の経験上住宅の間取りの要望で一番多いかたちです。
多分世間一般でも2階建ての住宅ですと最もポピュラーな要望のひとつだと思います この普遍的な要望に対してどのように回答するかが今回のテーマでした。
南に田園風景の広がる住宅地で南と東の二方向道路、北側は遊歩道のある敷地です 眺めの良さ、開放感や広さを重要視して施主はここを選びました。ある程度周りに住宅が建ち並んだ区画に後から家を建てる際は、いつも周りの家の状況を気にしながらヴォリュームや窓の位置を考えるのですが、今回大屋根のかたちになったのはそういったことだけではなく、何となく施主の趣味であるキャンプのテントの原型のようなものを少し重ねていたように感じます。
テントの中は基本1室で仕切るものがない空間です 今回の住宅も2階の空間がどうやったら1階から切り離されずに程良い距離感で配置できるかが悩みの種でした。2階の廊下部分をスタディスペースとして吹き抜けを通じて1階に繋がっている空間とすることで少しだけ一体感が生まれ、更に子供室を少し持ち上げる事でスタディスペースがブリッジ状になり、1階から2階へと段階的につながる空間となりました。同時に、1階は水平方向に視線が南北に延び、2階は斜め上方に視線が伸びることで、同じ方向でも違う景色となるような窓の使い方となっています。
外構は少しオープンなかたちとしました。道を挟んで南側は小麦畑か水田となっている事が多く、そちらを眺めながら過ごす家なのですが、この道は多くの小学生の通学路になっています 水田まで広がる庭に、道路というドライな川が流れていて、小学生というメダカが泳いでいると勝手に思い込んだ際にはこれくらいの形だろう、というところが少し面白いのではないかと思いました。
ふつうにふつうなことを常に目指しているのですが、ふつうの間取りは本当に難しいと普段から感じていると同時に、だからこそ追求する面白さがあることを実感出来た住宅です。