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deneb algedi

​どこからでも1本の桜の木が楽しめる住宅を考えてみる。

2005年

栃木県さくら市

​住宅

設計

長澤徹(積水ハウス株式会社)

工事監理・施工

積水ハウス株式会社

植栽

積水ハウス株式会社

撮影

長澤徹

地方の少し広い住宅地での計画です。

社内設計時に展示場で初めて施主と会い、とても楽しく話をさせていただいた後、帰りがてらに「次に来るときは新車できますね」と言って日産のマーチに乗って帰っていく施主を見送りました。当時、会社のフラッグシップ商品を希望いただきましたこの施主はどういう新車を購入されるのだろうか、と当時この住宅が初契約となる女の子の営業と話したのをいまでも覚えています。ところが2回目の打合せで施主を迎えに出た時に見た車は「新型マーチ」でした。その時点ではこんな家ができるとは夢にも思っていませんでした。(施主も営業も設計も。。。)

間取りを作ることになり、更地の現場に行くと大きな桜の木が一本残っていました。

ご主人「毛虫がたくさん出るから切っちゃおうと思うんだけど。」

奥様「その毛虫が蝶になるのよ、ダメよ切っちゃ。」

僕も是非残すべきだと奥様側につき、なんとか桜が残る様に説得しました。

後日、お付き合いのある神主さんに、「あなたよりずっと昔から住んでいるものを切るなんてとんでもない。」と、さらに心強い後押しをされ桜の木は残ることになりました。

敷地がとても広いので、どの部屋からも桜だけが見える様な間取りにはなっていませんが、メインとなるリビングのソファからは勿論、折角なのでお風呂からも桜が見えるようにプランしました。

工事が始まって段々とイメージが現実になるにつれ、ご主人も桜の木に情がはいるものです。年末に雪が降った時は雪の中歩いて現場まで行き、写真を撮ってきて「白く雪化粧して花が咲くより綺麗だよ!」と大喜びしていました。

​玄関ドアや湿式の浴室、螺旋階段など図面を描き切るのが本当に大変だった家ですが、その分出来上がった喜びも大きく、未熟ながらも納得のいく家ができました。

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