平屋でコートハウスの防犯を考える


平屋は地面と近く構成が平面的な点が、メリットでありデメリットでもあります。ウッドデッキやテラスを設けて庭、道路、街へと視界は水平につながり、掃き出し窓などによって行動できる範囲も広げられることにより、平屋という選択は、広い家に住みたいという要望を単純に解決できる方法の1つであることは確かです。反面、屋内から屋外へ視線や行動範囲が広がるということは、屋外側の同じレベルである隣地や道路からも見られ、プライベートとパブリックの境界に何も施していなければ侵入される恐れも同時に発生してきます。


平屋になる時の、というより家を建てる人のほとんどの人が思い描く要望は、広く明るい家に住みたい、です。


敷地の条件や周辺の環境、さまざまな因子がありますが、2層の空間を1層にすることで単純に空間が広くなり、さらにカーテンが不要な状況をつくれば、透明の窓によって視界がさらに広がり、明るくすることができるので、要望に応える案の一つとして、平屋のコートハウスが浮上することがあります。


ただし、このような平屋のコートハウスには解決しなければならないハードルがいくつかあります。例えば防犯上、完全に囲ってしまった場合泥棒に一度内側に入られてしまうと好き放題されてしまうことや、壁がそそり立つので外から見ると閉鎖的に見えてしまうことなどが挙げられます。また、夏場など寝るときに窓を開けて風を通しながら寝ることが難しいことも防犯の観点から検討が必要で、これらの対策をいかにして施し住宅のプランに盛り込んでいくかが設計士としての役割となっていきます。


実際、施主側からの要望は毎回比較的単純なことが多く、広く明るい家に住みたい、という要望が多いのですが、設計事務所側は上記防犯や風通しは最低限住宅として一般的に求められるものとして、様々に検討し試行錯誤の上独自に対策を考え工夫し施主に説明して理解してもらっていることが多い内容と思います。


中庭の防犯を解決する方法として、ある面をルーバーに変更することによる透過効果が挙げられます。外から内側を少し透けるように見せることで、万が一内側に入り込まれても侵入の作業を行いにくくする効果が期待できます。格子は中庭と屋外の状況によってサイズやピッチ、縦横の方向、片面か両面かなど様々な検討があり、屋外と屋内で見えても良い方向と見せたくない方向を検討した上で選択されていきます。一般的に暗い方から明るい方はよく見え、明るい方から暗い方は見えにくくなる効果があるので、昼間は外から屋内が見えにくく、逆に夜は照明器具によって室内が明るくなることから、外から屋内が見えやすくなります。


実例のsadaltagerは正面子供室は見えても良いが、リビングは外から見えないようにしてほしいとの要望で、ルーバーを縦方向として設計し、防犯上死角となる部分がないように中庭をつくりながら、風を入れることで植栽の健康面にも配慮できるように考えています。


また、ロの字型の平屋コートハウスとなったalgediに関しては、比較的エアコンに頼らない生活を希望されており、気候が良い時期は窓を開けて就寝できるように提案しました。間取りの中心部分に中庭を設け、各寝室外周面は防犯上有効な窓を選択することで、中庭と寝室の窓を開けると2方向通気ができ、風を通しながら就寝できるかたちになっています。


昔の基準ではありますが、WHO(世界保健機関)が提唱した基本的な生活要求である、4理念:①安全性、②保健性、③利便性、④快適性、というものがあります。これは①最低限必要な要求~④上位の要求、というグラデーション状になっているのですが、これに照らして考えると、通常の住宅設計における施主と設計者とのヒアリングでは、利便性と快適性が中心に会話が展開されることが多いものと思います。耐震性能に代表される安全性や、断熱性能などの保健性に関しては、現在ではどの住宅も基本的に確保されているものと誰もが皆思い、言葉として施主から要望に上がってこないことも多いのですが、防犯や風通しは安全性、保健性の重要な要素と思います。設計事務所としてプランニングをする上では様々なシミュレーションを行いながら、より快適な平屋ができるように検討を重ねる次第です。


ちょっと今回は真面目に記事を書いてみました。

建築知識の平屋特集にて防犯に関する執筆を依頼いただき、出来るだけきちんとした文章にまとめてみた結果なのですが、長文で内容も硬派、読みづらい文章となってしまいました。

すみません。

 

POLARSTARDESIGN ARCHITECT OFFICE

 

ポーラスターデザイン一級建築士事務所​