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コア型プランの検討と検証を重ねて


建築は常に虚像と実像との間を漂っている地に足のつかない様なものでありながら、確実で地に足のついた実生活という現実をを包容しなければならない、非常に面白いジャンルの仕事だと思っています。具体的には、明るく、風通し良く、開放的に緑が眺められ、というじゃあ屋外に住めばいいじゃないかという様な一面と、外からは見られたくないし夏は涼しく冬は暖かく快適に過ごしたい、というじゃあがっちり囲われた屋内で暮らすしかないですねという、ある種相反した要望をを同時に叶えるために知恵を絞り、それを解決する手法をうんうんと悩みながら検討し苦悶しながら線を引き続ける作業に、設計の本質の一部が詰まっているともいえます。


自分に声を掛けてくださる施主にはアウトドアを楽しむ方も多いのですが、上記の相反した要望を叶える手段の一つとしてキャンプの住空間を考える事があります。アウトドアにおけるキャンプの住空間は、開放的タープ部分と閉鎖的テント部分とで構成され、非常に単純な仕組みでハレトケ双方の住空間を作り出すお手本ともいえる存在です。


ハウスメーカーの設計時代から取り組んでいる自分のプランとしてコア型のプランニングがあり、この閉鎖的な部分をコアに据えながら、変則的に間取りを開いたり閉じたりすることができ、家の外周に全く間仕切りの壁が当たらない住宅を検討することがあります。家の外周に間仕切壁を当てないことで、家の最外周部分が見渡せる仕組みができ、見通した先が行き止まりでなく奥に続いている視覚的効果と合わせて、実面積以上に脳が空間構成を補って広く感じてくれるのですが、初代から数えると現在進行中の間取り合わせて6代目まで発展してきていることに気がつきました。多分没案含めるともっと沢山事例が出せそうです。面白いまとめができそうなので、そのうちちょっとまとめてみようと思います。


近況も少し。ちょっと東京に用事があり、ミナ ペルホネンの展示を見に東京都現代美術館に行ってきました。滲み出る皆川明さんの手の感覚に圧倒されつつ、一部建築的展示もあり、服飾の人なのに建築ができてしまう脅威をひしひしと実感しながら空間を堪能しました。よかったです、おすすめ。

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