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浦和で小さな建築家展に参加させて頂いています


今年は台風での被害が予想以上に甚大で、あちこちに爪痕を残しています。

自分は不動産業は営んでいないので、基本的に土地の選定は施主に任せている事が 多く、土地選びも含めて施主の要望だったり背景の一つとして捕らえているのですが、今後は今まで以上に踏み込んでハザードマップの確認や家の建て方の提案が必要になる時代へと突入してきた気がします。


さて、現在浦和で9組の建築家展に参加させていただいているのですが、今回のテーマは「まちの景」、建築家がまちの景色をどう感じているかや、設計時に何をよりどころにして外観や街並を考えるかというトークセッションがあり、自分自身でこのテーマでの検討と表現が少ないと思いブログに導入部分をまとめてみることにしました。


私はもともとハウスメーカーの設計として会社に勤務していました。世間の建築家と言われている方々からは、仕方のないことかもしれませんが、ハウスメーカー自体が利益優先だったり営業中心の会社であることも含めて、街に乱立していくいわゆる「プレハブ住宅」を建てる手助けをする様な立場に感じる設計者と見られている存在なのかもしれません。

実際に建築家の方々にお会いして、「あなたの設計の守備範囲と違っていたり、要望が強い施主が訪れた際はどのように対応されますか?」と質問すると、「そういう時はハウスメーカーを紹介します」と応える方が比較的多く、ある意味正しい対応だなとは思いつつも寂しかったり悔しかったりする気持ちも同時に沸き起こります。


もちろん全員ではないですが、ハウスメーカーの設計の中にも、その様なネガティブなイメージを払拭したいと思っていたり、作品が決して自分の名前で建築として世間に表現できないことは理解しつつも仕事に取り組み、建築家に対する憧れを抱きながら日々を格闘している人々が多く存在するのは事実です。自分もそういう一人でした、というより会社を退社し個人で設計事務所を開いた今でも、建築家というよりは工業デザイナーとしての自覚が大きいのかもしれません。自分の様な企業内、インハウスの設計という存在は、建築の中でのポジションを考えた際にはいわゆる底辺部分であり、他に比べたら大量の建物を日々街中に建築し、街の景色を構成する大部分を担ってしまう可能性があることがコンプレックスで、常に悩み続けた部分ですが、全国的にも同じ悩みを抱える企業内設計は多いように思います。


プレハブ住宅なので形状や部材がある程度限定されたり、営業主体の販売方式なので施主の要望に沿った形状となることが多く、街並みを構成する上でベストな外観が毎回選択できていたかについては悩みつつも、それでも周辺環境やまわりの景色にとって、建てた建物が阻害弊害にならないようにだけは慎重に配慮して住宅を提案するように、当時は気をつけていたと思いますし、今も気をつけているつもりです。外観は誰のためのものか、住宅地での窓の配置の考え方、など、会社で教わった事は本当に貴重で今でも自分の設計の基礎となっています、有難い有難い。


ちなみに、上記の様な世間的プレハブ住宅へのイメージを改善していく為には、トップアップではなくボトムアップがひたすら必要で、トップデザイナーが会社のデザインを引っ張るのではなく、設計全員の微々たる底上げを継続してブランドイメージを改善しない限り、展示場(夢)と自宅(現実)の解離はますます進む一方なのではないかと思っています。会社からドロップアウトした人間の、まさに「負け犬の遠吠え」ですね笑。

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