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世間話のようなヒアリング




家づくりのはじまりはヒアリングという作業からスタートしていきます、土地探しからのお施主さんも、土地が決まっているお施主さんも、マンションなどのリノベーションのお施主さんも、皆ヒアリングを重ねて要望の本質を掴み、だんだんと間取りと施主像が一体化していくイメージでプランニングの作業へと進んでいきます。この要望の本質を掴むのは本当に難しく、自分のヒアリングが未熟だな、と痛感するときも多々あるのですが、ここできちんと奥深い部分まで聞き込めると、より深い部分で施主と家がフィットしていくのも事実です。


中には本当に有難い事に、用意周到に資料を準備いただき、要望をすでにまとめて打ち合わせに臨んで頂く方も結構いらっしゃるのですが、ひとつだけお願いがあり、いつも「もう一度一個一個ヒアリングさせてもらっていいですか?」とお願いしています。実際は要望ひとつひとつを紐解いて、どのような経緯でその要望が挙げられているか、別の解答法ではダメなのか、などを確認していくのですが、この作業が面倒な反面とても大事だったりします。

本当におこがましくもこの状況を自分はよく病院に例えるのですが、〇〇が欲しいという確定してしまった要望は、患者が医者に「風邪薬をください」と伝えている事に近いのではないかと思っています。実際よく診断してみたら鼻水の原因は風邪ではなく花粉症だった、という事もきっとあり得るはずで、自分は施主と多くの時間を使って話し合いをする中で、好みや考え方、価値観や普段の過ごし方、趣味、仕事、将来設計などありとあらゆる気になる事を徐々に把握して住宅というかたちにまとめあげていくかたちを得意としています。ヒアリング中、家と関係ない事も聞くかもしれませんし、世間話をする事もありますが、なんとなくそうやって話をした全ての経験で家自体の方向性が見えるときも多々あります。


家のヒアリングをしているようで無駄話をしているように見えるかもしれませんが、これも家づくりの重要な要素の1つです。話が長くてとりとめないな、と思う事もあると思いますがお付き合いください。


とここまで書いてわかる通り、私が上手に家を提案できない時はおおまかに2パターンあります。ひとつは「全てお任せしますので好きに作ってください」と言われてしまう時、そしてもうひとつは自分自身でヒアリングできない「自宅」。悲しい事実です笑。 そしてそんな自宅兼事務所が着工しています涙。


先日、岐阜に打合せでまたもや行ってきました。古い街並みが本当に綺麗だな、と思って眺めていると看板があり中山道の案内だったのですが、僕が住む浦和も中山道の街並みが残る宿場町です。とても遠い距離ですが、1本の街道でつながっている不思議な親近感を覚えました。

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